階名か音階か?
階名? 音名? 一体何のことでしょうか。保育士試験には階名と音名についての問題がすこしですが出題されています。具体的にはこんな問題です。選択肢の一部にでてきますので、今回は〇×で答えられればOKです。
ヘ長調の階名「ファ」は、音名「変ロ」である。
いままでの記事をご覧になった方なら、なんとなく察しがつくかもしれません。しつこく色々な調において全全半全全全半という言葉を用いていたのも、この階名と音名の理解につながるからです。
全音と半音、調性についてはこちらの記事で解説していますので、分からないという方はこちらも見てみてくださいね。
どの長調でも、ドレミファソラシドと聞こえるという話は以前もいたしましたが、ここでもう一度確認してみましょう。
まずはハ長調、ドからはじまる長音階(長調の音階)です。
つぎにヘ長調、ファからはじまる長音階です。
絶対音感などがなければ、ドレミファソラシドと聞こえるのではないでしょうか? もちろん聞こえなくても、長音階の全全半全全全半の音階の感覚がつかめれば大丈夫です。
音名、階名の問題は、ハ長調以外の長調をドレミファソラシドと見立てて考えるという言い方がわかりやすいのではないかと思います。具体的には、ヘ長調の音名、ファソラシ♭ドレミファ を ドレミファソラシド と考えるということです。
ヘ長調の音名と階名の表です。
階名 | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド |
音名 | ファ | ソ | ラ | シ♭ | ド | レ | ミ | ファ |
音名(日本語) | へ | ト | イ | 変ロ | ハ | ニ | ホ | ヘ |
音名と階名、そして、日本語表記とあり、とてもややこしいですが、音名と言われたら鳴っている音と覚えればおそらく大丈夫でしょう。冒頭の問題文のヘ長調の階名ファはシ♭=変ロと判断することができました。
この表が書けるようになれば問題には簡単に答えられるようになりますね。具体的な問題を解きながら練習してみましょう。
練習問題1
変ロ長調の階名「ラ」は、音名「ヘ」である。
この問題が正しいかどうかを考えましょう。
解き方としましては、まず、変ロ長調の音名が分からなければいけません。ここでも鍵盤を頭に思い浮かべましょう。変ロ長調ですから、シ♭から始まる長音階(全全半全全全半)ですね。
この鍵盤を見ながらドレミファソラシドと数えても良いでしょう。今回はわかりやすいように再び表にまとめてみたいと思います。
階名 | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド |
音名 | シ♭ | ド | レ | ミ♭ | ファ | ソ | ラ | シ♭ |
音名(日本語) | 変ロ | ハ | ニ | 変ホ | ヘ | ト | イ | 変ロ |
ここから、変ロ長調の階名「ラ」は、音名「ト」ということが判断できました。冒頭の問題文は間違いということですね。それではもう一つ練習問題を解きましょう。
練習問題2
変ニ長調の階名「シ」は、音名「ハ」である。
まずは自力で解いてみてくださいね。
いかがでしょうか? 同じように解説していきます。変ニ長調ですので、レ♭から始まる長音階ですね。鍵盤を思い浮かべましょう。
再び表を書きます。
階名 | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド |
音名 | レ♭ | ミ♭ | ファ | ソ♭ | ラ♭ | シ♭ | ド | レ♭ |
音名(日本語) | 変ニ | 変ホ | ヘ | 変ト | 変イ | 変ロ | ハ | 変ニ |
したがいまして、ニ長調の階名「シ」は、音名「ハ」ということが判断できました。冒頭の問題文は正解ということになります。
短調のときは?
ここで疑問に思われる方もいるかもしれません。短調のときの階名と音名はどうなるのだろうか? ということです。保育実習理論の問題として出題されることはほぼないと思いますが、音楽の知識として覚えておいても損することはないでしょう。
短調の場合は、ラシドレミファソラを基本として考えますので、階名がラシドレミファソラとなります。そして、長調のときと同じように表に当てはめて考えれば答えに導くことができます。
念のため1問だけ例題として取り組んでみましょう。
ハ短調の階名「ド」は、音名「ヘ」である。
答えへの導き方は同じですが、丁寧に鍵盤を思い浮かべて考えてみましょう。ハ短調はドから始まる短音階(全半全全半全全)ですね。
表にします。
階名 | ラ | シ | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ |
音名 | ド | レ | ミ♭ | ファ | ソ | ラ♭ | シ♭ | ド |
音名(日本語) | ハ | ニ | 変ホ | ヘ | ト | 変イ | 変ロ | ハ |
したがいまして、ハ短調の階名「ド」は、音名「変ホ」だとわかりました。冒頭の問題文は間違いということです。
まとめ
今回は、音名と階名の問題についての解き方を解説いたしました。イタリア語表記のドレミファソラシドと、日本語表記のハニホヘトイロハと、表記の違いのせいでとても分かりにくくなっているように思いました。しかし、今回の手順で解けば正解を導くことが可能です。
覚えておくべきこと
・階名と音名の違い
・問題文の調の具体的な音名の把握
・音の日本語表記
ややこしいと思いますが、まずは調を言われた時の鍵盤を思い浮かべられることがスタート地点みたいなものですので、普段から鍵盤を書いて復習しておくと良いと思います。
楽典の本が一冊でもあると安心ですよ。筆者も高校生の頃にこの本で勉強した記憶があります。
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