保育実習理論――音楽編4-1~調性の理解

保育士試験

調性とは

 まずは調性について調べてみました。

音楽に用いられる各音が,なんらかの意味において中心音と従属的な音という関係を呈する場合に生じる,中心音と諸音間の秩序の体系をいう。一般には (1) 長短調に基づく機能和声としての調性。 (2) より広義には,機能和声に基づかなくても,中心音と他の音の間になんらかの関係がみられる場合。たとえば教会旋法における終止音や日本の音楽にみられる核音支配。

出典:ブリタニカ国際百科事典の解説

 この説明で確かに間違いではないのですが、とってもわかりにくいですよね。何を言っているのかわからないという方も多いのではないかと思います。そして、保育士試験で必要になる知識は上記の(1)の一部でしょう。(2)の知識は個人的には面白い分野ですので学ぶと楽しいと思いますし、学びながら記事にしたいくらいですが、今回はいたしません。また余裕のあるときに読み物として記事にするかもしれません。ただ保育士試験とはあんまり関係ないと思われますので、今回は(1)の長短調に基づく機能和声としての調性について見ていきたいと思います。

長調とは

 まず、長調について見ていきたいと思います。そのまえに、調とはなにかということにも触れておかなくてはいけませんね。簡単に言うと、全音と半音の並び方と言っても間違いではないかと思います。これですべての説明がなされているとは言えませんが、おおよそ全音と半音の並び方と考えて頂いても問題ないです。では、具体的に長調がどのような並びになっているかをみていきましょう。

全全半全全全半

 ハ長調が基本になりますので、覚えましょう。ハ長調はドからはじまる音の並びです。初回の記事で説明した、ハ=ドということを思い出してくださいね。

 タイトルにもあるとおり、全全半全全全半なのです。これは全音、全音、半音、全音、全音、全音、半音という意味です。視覚的にもご覧頂きます。

 

 ドとレの関係は、黒鍵を挟んでいますので、全音関係です。おなじくレとミも黒鍵を挟んでいますので半音二つ分で全音です。そして、ミとファは黒鍵を挟まず半音関係ですね。同じようにファとソ、ソとラは全音、シとドは半音です。この全音と半音の並びが、長調の音の並びです。〇長調と(具体的にはハ長調、ニ長調、ト長調など)名前のついているものは、すべてこの全音と半音の並びで音が並んでいます。ただ、先頭の音が異なるというだけです。たとえばヘ長調だとどうでしょうか? 文字で示すと、「ファソラシ♭ドレミファ」ですね。鍵盤でも確認してみましょう。

 すこしわかりづらかったので●で表示してみました。画像のとおり、長調の全音半音関係で並んでいます。ファとソは全音、ソとラは全音、ラとシ♭は半音、シ♭とドは白鍵をはさんでいますので全音、ドとレは全音、レとミは全音、ミとファは半音です。しっかりと全全半全全全半の並びですね。

 全音と半音の並びだということはこれでご理解いただけたと思います。ただ、調について頭で理解できたとは思いますが、実際に鳴っている音がどうなのかということは文章や画像では実感しにくいかと思います。ブログのいいところは音も掲載できる点ですね。ハ長調とヘ長調の全全半全全全半の並びを聴き比べてみようと思います。うまく貼れるといいのですが……。

 まずはハ長調の音階です。

 つづいて、ヘ長調の音階です。

 いかがでしょうか、絶対音感でもないかぎり、どちらもドレミファソラシドと聞こえたのではないかと思います。この、全全半全全全半のならびを守ると、どこの音を先頭にしても、ドレミファソラシドと聞こえます。これが移調ということです。ちなみに変ホ長調も聞いてみましょう。ミ♭からはじまる音階です。

 やはり、ドレミファソラシドと聞こえるのではないかと思います。

 この移調ですが、カラオケでキーを上げ下げすることがあると思います。キーを上げ下げすることと移調は同じことをしています。そう考えると、移調も少しは身近に感じられるかもしれませんね。

 では、保育実習理論の話に戻りましょう。移調や長調について理解できたけれど、実際の問題にはどう取り組めばいいのか、ということですね。問4の問題につづいて問5で移調の調号についての問題や、問6の選択肢のひとつに、階名と音名についての問題が出題されています。この移調作業ができると、どちらの問題にも答えることができます。ただ、今回は調性を理解していただきたいので、具体的な出題に対する攻略方法は次回書きたいと思います。

短調とは

 短調についてですが、保育実習理論ではあまり出題されたことがないようです(おそらく)。ただ、短調の童謡も存在していますので(「うれしいひなまつり」や「ちいさい秋みつけた」など)、頭の片隅にいれておいてもいいかもしれません。

 短調の音の並びは、基本的には「全半全全半全全」です。イ短調が基本で覚えるといいでしょう(筆者はなぜかハ短調を基本に覚えていますが……)。鍵盤を見ていきましょう。

全半全全半全全

 

 一音ずつみて、全音半音関係が、全半全全半全全になっていることがわかると思います。これをハ短調に移調してみるとどうなるでしょうか?

 すこし見辛くなってしまいました。申し訳ありません。しかし、こちらもしっかりと全半全全半全全の関係になっています。実際の音も聞いておきましょう。

イ短調です。

ハ短調です。

 おそらく、保育実習理論で出題されるのは長調の問題ですのでここまでの知識は必要ないかもしれません。短調は全半全全半全全だったなぁと思い出せれば、もし短調の問題が出題されても対応は可能だと思います。しかし、短調がやっかいなのは、この自然的短音階とよばれる並び(全半全全半全全)だけでなく、和声的短音階や旋律的短音階なるものが存在しております。さすがにここまでの知識は保育士試験では出題されないでしょうから、息抜きと思って、音だけ聞いておきましょう。短調の童謡でも、こちらの旋律的短音階で歌われているものが多いのではないかと思います。そもそも短調の童謡が少ないですが……。

イ短調ー和声的短音階

イ短調ー旋律的短音階

ハ短調ー和声的短音階

ハ短調ー旋律的短音階

 なぜ自然的短音階ではだめなのかという話は、ドレミファソラシド や ラシドレミファソラ の音一つ一つに機能があるためです。「自然的短音階のままだと都合がわるいので、半音上げましたー」という発想です。ややこしくしないでくださいという感じですが、こういうものがあるとだけ覚えておくと、音楽通ですね(^ω^) まあ、保育士試験ではほぼ出題されないでしょう。

まとめ

 今回のまとめとしては、
・長調の音の並びが「全全半全全全半」ということ
・移調とは先頭の音が変わるだけでこの「全全半全全全半」という並びは変わらないということ
・移調しても、音としてきくと「ドレミファソラシド」ときこえること
 これらのことが理解できているといいでしょう。音として聞くとドレミファソラシドときこえるという点は、音名と階名の問題を解くときに必要になる知識です。色んな調の音を実際の鍵盤で鳴らしてみると覚えが早くなるのではないかと思います。ぜひ鍵盤楽器があるかたは試してみてくださいね!!

 楽典の本が一冊でもあると安心ですよ。筆者もこの本で高校生の頃に学習した記憶があります。

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