西洋音楽史3ーーグレゴリオ聖歌

保育士試験

グレゴリオ聖歌とは

 まずは、グレゴリオ聖歌とは何かについてみてみましょう。

グレゴリオ聖歌は、主に9世紀から10世紀にかけて、西欧から中欧のフランク人の居住地域で発展し、後に改変を受けながら伝承した。教皇グレゴリウス1世が編纂したと広く信じられたが、現在ではカロリング朝にローマとガリアの聖歌を統合したものと考えられている。
 グレゴリオ聖歌の発展とともに教会旋法が成立し、グレゴリオ聖歌は8つの旋法で体系づけられることとなった。旋律の特徴としては、特徴的なインキピット(冒頭句)や終止(カデンツ)、メロディの中心となる朗誦音(リサイティング・トーン)の使用、またセントニゼイションと呼ばれる既存のメロディを転用する技法によって発展した音楽語法があげられる。グレゴリオ聖歌の旋律はネウマ譜を用いて記譜され、このネウマ譜が16世紀に現代でも用いられる五線譜に発展した[1]。またグレゴリオ聖歌はポリフォニーの発展に決定的な役割を果たした。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%82%B4%E3%83%AA%E3%82%AA%E8%81%96%E6%AD%8C

 中世に発展したキリスト教の音楽です。キリスト教がどのように発展していったかということもとても興味深いのですが、それはまたどこかでですね。

 グレゴリオ聖歌の発展とともに教会旋法が成立とあります。旋法としては、実は古代ギリシャにも旋法がありました (ドリス、フリギュアなど) 。この教会旋法の具体的な旋法(ドリア、フリギアなど)と名前は似ていますが、中身は全くと言っていいほど違うものだったようです。どう違ったかというのはあまり話題にはしません。このグレゴリオ聖歌が重要な点は、旋法が長い時間をかけて長調と短調に収束していくことと、単旋律だったものがポリフォニーの音楽になっていくという点です。

旋法から長短調へ

 もともと教会旋法としては、ドリア、ヒポドリア、フリギア、ヒポフリギア、リディア、ヒポリディア、ミクソリディア、ヒポミクソリディアという全部で8つの旋法があったようです。それぞれ、終止音や支配音などが個別で存在し、曲が作られていたようです。ただ、この旋法を使ったとして、増4度音程の回避(悪魔の音程といわれていた)や、導音をつくるために、結局旋法通りにはならず、半音上げたり下げたりをした結果、16世紀にはさらに2つの旋法が用いられるようになったようです。それが、イオニア旋法とエオリア旋法です。

 このイオニア旋法は現在の長調にあたるものです。ハ音を終止音としたときに、ソが支配音となり、現在の長調の根音と属音の関係に通ずるところがありますね。エオニア旋法も同様で、イ音を終止音とすると、ミが支配音となるようです。

 長い時間をかけて、たくさんあった旋法が大きく二つに収束していくのですね。17世紀にはバッハが平均律クラヴィーア曲集を作りますから、そのときには長短調が確立したといえるかもしれません。

ポリフォニー音楽

 中世の世俗音楽では、いつまでも単旋律のままだったようですが、宗教音楽では、多声への動きがでてきます。それは9世紀から10世紀ごろに理論的に始まっていったとされているようです。最古の文献がそのころ書かれたものということですね。「音楽提要」という理論書(著者不明)の中に、2本の旋律の重ね方が書かれており、旋律に平行にもうひとつの旋律を重ねるというものだったようです。これは平行オルガヌムとよばれます。ただ、実際歌われていたものという意味では、この平行オルガヌムが使われていたかはわからないとのことで、オルガヌムの作品が楽譜で残されるようになるのが11世紀であり、そこには平行オルガヌムではなく、斜進行や反進行の動きを含んだ自由オルガヌムで書かれたものだそうです。ここから次第にモテットなども生み出されるようです。モテットは声部によって歌詞が違うものがあります。とても聞き取りづらそうですよね。デュファイの曲がアマゾンで試聴できます。

 試聴していただけばわかりますが、とても聞き取りづらいのです。つまりどのように音楽が変わっていくかというと、ポリフォニー音楽からモノディ様式の音楽が作られていくということです。モノディ様式は、旋律と伴奏という形の音楽です。ピアノやギターの弾き語りを思い浮かべるのがわかりやすいですね。声部は基本的に一つですから、歌詞も聞き取りやすいです。

まとめ

 とてもざっくりとした内容になってしまいましたが、グレゴリオ聖歌、キリスト教音楽が後に続く西洋音楽の基礎となっていることがご理解いただけたのではないかと思います。教会旋法が長短調へ収束していくこと、単旋律からポリフォニー音楽へ、そしてモノディ様式の音楽へと続いていく。モノディ様式でないと、オペラなんかも聞き取りづらいものになってしまいそうですものね。そうすると、保育で歌う童謡もポリフォニーだったらどうなるのだろう? と考えてしまいますね……ん? かえるが出てくるあの有名な童謡は……ポリフォニー……。

 これらの文献を参考にしました。保育士試験の予想問題集も貼っておきます。

 

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